今回は、欧州開発担当理事中沢あきが、ユーロの買い支えとドイツ経済の対応を報告すべく急遽帰国しての開催でした。
日本国内事情も急変し、衆議院選挙と東京都知事選挙の結果を受け、TMCでは「魚卵外交の今後〜日・中・韓の緊張緩和と明太子の平和利用」を議題として掲げました。
中沢によるドイツの現地報告、スペイン国内の独立問題の加熱など、幾つかの報告の後、熱い論議が交わされました。写真は、日本の危機を回避しようと駆けつけた波多野哲朗TMC名誉会長を囲んでの、1回目の乾杯です。

今回、平和利用の切り札として選択されたのは、島本食品の新作と稚加榮の「異母類」でした。稚加榮は以前にも紹介したことがある、「料亭の味」の老舗です。明太子生産者には大きく二つの種類があります。老舗の「ふくや」「福太郎」「かねふく」「やまや」「鳴海屋」「中島水産」など、水産加工業から食品メーカーとなった会社によるものと、「稚加榮」「にし川」のように「料亭の味」として参戦した会社があります。あるいは「椒房庵」のように久原醤油からつゆやタレの漬け技術によって、明太子業界に進出した会社もあります。
「異母類」とはTMCの分類による、明太子第2類の中の「別の魚の腹部に詰められた明太子加工品」を指します。今回は「いわし明太子」と「さんま明太子」が提供されました。因みに「手羽明太子」や「鮭のハラス」なども「異母類」に分類されています。

稚加榮の明太子は美しいビジュアルでありながら凛とした辛さが魅力
さて、まずは島本食品の「明太フランス」です。

巷のパン屋さんでもこの類の商品はあるのですが、さすがは明太子屋のパンです。急速冷凍されて送られてきた商品は、常温で解凍し、オーブンで2〜3分加熱しました。ペースト状の明太子は粒子がしっかりと残っており、また、細身のパンには充分な分量が塗布されていました。生の感じを残して粒感のある、少しバター風味も加わった、とてもバランスの良い商品でした。ただし、フランス生活の長かった鷺宮支部長は「フランスパンというには外皮の食感がもうひとつだ」といっておりました。全体にソフトな仕上がりなんですね。おそらくフランスパンのガリっとした食感は欲しかったのでしょう。パンにハードタイプが出来るとそういう人も満足かもしれません。
さて、川崎市部長が持参したのは、鳥取からから持ち帰ったお酒です。確か、古くから伝わる酒米を復活させて作ったという説明でした。瞬時に皆のお腹に消えていったのは言うまでもありません。

前菜はさっぱりと大根ですね。だいこんやカブは明太子との相性が抜群です。

今回は創作料理もなかなか評判のいい出来栄えでした。
総務二課長による、塩豆腐とグレープフルーツに自家製の明太子ジュレです。こういう半固形になっていると使いやすいですね。ジュレは少しダシが濃かったかもしれません。グレープフルーツは控えめがいいようです。

代表は今回は色味の美しさで勝負してみました。金時人参とホタテの紅白が鮮やかです。柚子の皮は黄色いアクセント。めでたい感じがしました。金時人参との相性もいいですね。少し甘みがあって明太子は辛めがいいでしょう。

稚加榮の「いわし明太子」「サンマ明太子」「いわしのぬかみそ煮(明太子風味」はどれも見事ですね。イワシの脂のノリ具合、サンマは少し甘めにみりん風味が効いています。ぬかみそ煮は明太子は風味にとどまっている感は否めませんが、魚の煮付けとしては抜群にうまい。もうこれは「白米」の登場です。誰もが掟を破ってご飯と合わせています。ワインとの相性もいいということでした。

いわし明太子

さんま明太子

いわしのぬかみそ煮
いよいよ、島本の新作です。
「マッコリ辛子明太子」です。これは全体としてはやや甘口の仕上がりですね。辛いのが苦手な方におすすめです。マッコリは全面には出ていなくて、そう言われてみれば、といったテイストです。しかし、マッコリと絡むことによって醸しだされた風味のバランスは見事だと思います。島本のラインアップとしては、幅を広げる一品でしょう。

「濃い・うま辛子明太子」は明太子そのものが確かに濃い味になっているので、付属の「うま辛だれ」の配分が争点となりました。波多野名誉会長は「ほんの僅かにつけるのが旨い」といい、つけすぎた留学生担当の中村は「味が丼のようになってしまう」といっておりました。確かに、たれにどんぶり感が強いのかもしれません。若い人ががっつりごはんを食べるときにはいいかもしれませんね。年配の方は「極わずかにつける」のが美味しい食べ方かもしれません。

さて、今回も欧州からドイツワインを持ち込んだ中沢、どうしても白ワインと合わせたいと意地を張って、スパークリングワインを持ち込み、自らパンとチーズに明太子を盛り合わせた鷺ノ宮支部長、初心者らしく第3類の部妙なチーズを持ってきた多文化共生担当:海老原、など成熟した会の方針と、無謀な挑戦が同居する愉快な会合でした。
最後まで、国際政治を論じ続けていたことは言うまでもありません。
