2011年07月17日

タパスでタラコ(欧州支部より)

「唄を忘れたカナリアは〜」の鳥、カナリアの生まれ故郷であるカナリア諸島。スペインに属する自治州の島々であるここは、欧州人たちのリゾート地でもありますが、そのうちの一つ、ランサローテ島に先日行ってまいりました。

スペインといいましても、地理的には既にアフリカ西岸に近い所。アフリカへの距離の違いによるものなのか、諸島の島それぞれに違う気候や自然環境があるといわれていますが、中でもアフリカに近い位置にある島がランサローテ。
そのせいか、強い陽射しに乾燥した空気、そしてアフリカ大陸から強い風が吹き付ける為に乾いた地にはサボテンが育ち、更に休火山帯が連なる荒野が火星かと見まがう程に広がる先には、突然沖縄のようなクリスタルブルーの海が広がります。
正に対極限の自然を見ることができるダイナミズムに心も洗われ、またそうした過酷な自然環境を逆手に取った、風力発電や太陽光発電をあちこちで見ることができることも、日本の現状を遠くから見つつ気が気でない私には興味深い風景です。

島、ということは当然海に囲まれていますから、食はやはり海の幸を期待するわけですが、スペイン圏ですのでタパスまたはカナリアン料理と言われるものが一応土地の味です。しかし英国からの避暑客が多いせいか、ブリティッシュ、アイリッシュバーを見かけること多し。フィッシュ&チップスかあ…。
島の中心都市、アレシフェの観光案内所の女性に訊いて、地元の客も多いという食堂に一度行きましたが、まあ、こちらの魚貝の調理法はおおかた、焼くか揚げるか、なんですね。ホタルイカのような小さめのイカのフリットはそれはそれでおいしかったですが、そのボリュームに最後には飽きた、というのが正直なところ。

レストランの値段はどこもお手頃価格でしたが、そんなわけで、うーむ、これなら自分で調理するのがいいのでは、と思うのはTMCのメンバーとして当然のこと。こうした自立心や好奇心が新しい研究開発を切り開くのです。

泊まったホテルはアパートメント式でキッチンも付いているので、早速ホテルの人に訊いて、魚市場がある、という港の方へ出かけます。
教えてもらった辺りでバスを降り、海沿いをうろうろしていると、ふとドイツ語が耳に飛び込んできて振り返る私たち。後方でスキューバダイビングのインストラクターをしている人はドイツ人らしい。
早速近づいて話しかけると気さくに相談に載ってくれます。
いわく、その港に今はもう魚市場はないが、お勧めの魚屋はある、とのこと。
レストランも経営している魚屋だ、という彼のアドバイズを下にそちらの方向へ足を進めます。
店の名前はなんだっけ?
えーと、ラ•マンチャ、って言ってましたよ。

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歩くこと5分強。スペイン語でpescaderia(魚屋)と書かれた店を発見。隣にはレストランも並んでいるので間違いない、が、店の名前は、ラ•マンチャではなくてラ•ロンチャ(La Lonja)でした。日本人の私には、松本幸四郎の姿と共に「ラマンチャの男」が頭に残っていたんです。

さて店に足を踏み入れると、うわー、並ぶ並ぶ、大きく新鮮なお魚たち。
気になる値段もこれがなかなか素晴らしく、その日は全長40cm強の鰹を丸ごと一匹購入して5〜6ユーロです。安い!
普段の客にするように、親切にも頭を切り落としてゴミ箱に捨ててしまった店のお兄さんに、わー、捨てないでくださいー、と叫びかける程興奮状態の私たちにお兄さんもちょっと圧倒されていましたが、なんせ新鮮な魚をそんな値段で購入するなんて無理な話の西ドイツから来てますので、ご堪忍を。
その日は切れないナイフで魚の解体に格闘し、しかしなんとか刺身とタタキを堪能することができたのでした。

翌日から私たち、何度もその魚屋に通っては、アジだ金目鯛だと買い物しましたが、そこで気がついたことが一つ。
魚はたくさん並ぶのに、タコやイカ、エビや貝などのいわゆるシーフード類を見かけないのです。一度大きなロブスターを見かけましたが、USA/CANADAとラベルが付いていました。聞けばここでは甲殻類や軟体類の魚貝の生息率が低いそうで、ゆえに捕獲も禁止されているとのこと。レストランで出されるのは皆輸入物だそうです。
そういえば浜辺でも貝殻をほとんど見かけないなあと思ってましたが、そんな環境もあるんですね。

うまくすればウニとか食べることができるかも、と密かに魚卵への想いを蘇らせていた私としては残念なニュース。
まあ穫れないんだったらしかたないよね、と魚屋に続くレストランの方へ足を踏み入れると、ちょうどお昼前、バーカウンターのショーケースの中にはタパスの皿が並んでいます。これは卵サラダかポテトサラダか、これは揚げ物だな、などと見ていく視線の中に入ってきた懐かしのものは…。
ん?こ、これは、タラコ!

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大きさや色からするとタラコと思われる魚卵が一口大に切り分けられ、既に調理された色で、他の野菜と共にマリネされているサラダです。

思わず興奮して魚屋の方へ走り戻り、売り子のお兄さんに質問します。
あれは、卵ですよね?
そうですよ。
もしかしてバカリャウですか?
そうですそうです。でもあれは、冷凍で輸入されたものですよ。

鱈はやはりこの辺りの暑い地域では穫れないのでしょうか、そういえば南国の鱈の料理は乾鱈を使うレシピが有名ですね。
この魚屋でも魚卵だけ生で売ることはないそうです。

リサーチと称して一皿買い求めたのはもちろんです。
テイクアウトのパックに移してもらい、ホテルの部屋に戻ってから早速白ワインと共に頂いてみました。

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お、正にたらこ、です。
ただし焼きタラコではなく、茹でたタラコを切り分けて、タマネギ、パプリカなどと共に酢とオリーブ油などでマリネしてあります。マリネされて味が染みているのでこれはこれでなかなかおいしい、と思っているそばで、ドイツ人の欧州開発担当理事補佐が呟きました。
うーん、でもせっかくなら生で食べたかった…。

生で魚卵を食べる習慣は欧州にはほぼありません。おそらく親日家の彼はTMCなどの会合で、日本の生食タラコもしくは明太子の食感の素晴らしさを覚え、茹でタラコでも魚卵が食べられた、という欧州では貴重なこの出来事に感動できなくなってしまったのかもしれません。
日本人の私の方がこうした機会に謙虚になってますね。

ということで、欧州でも南に行く程魚卵を食する習慣がある、という話を実感した一件でした。

この一パック/一皿で3ユーロでした。居酒屋さんで一皿頼むような感じなんですね、タパスって。このお値段にも観光客相手に値段を釣り上げない地元の大らかさが表れていて嬉しいものです。
posted by 明太子 at 15:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 支部便り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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