

豆が好きだ。だからいつも豆を切らさない。通常はピーナッツで、少し余裕があるとアーモンドやカシューナッツを求める。ひまわりやカボチャの種も豆ではないがとてもいい。写真は有楽町の交通会館内にある「ザ、博多」で求めた。「ザ、博多」は博多の物産を扱うアンテナショップだが、この店のラインナップは正直なところ物足りない。明太子は3種類程度で新味がない。どちらかといえば、我々TMCが採りあげる第3種の加工品の類が多い。それでも、ラーメンの類や明太子せんべいや明太子蒲鉾、TMCでその驚きを絶賛した「明太子ドロップ」もある。冗談で買うようなものならば、充実している。蛇足だが、店員もアルバイトの女子高校生といった感じでやる気があまり無い。こうした厳しい評価をするのは、同じ交通会館に入っている「北海道」「富山」「和歌山」「諸国名産」はかなり本格的な品揃えが嬉しいからだ。特に富山は時々利用する。魚の類や店頭での押し寿司は人気で売り切れている。それに比べると「博多」は力が入っていない。これでいいのか?
ところで、今回は「豆」だ。この豆は懐かしくてつい手に取った。「ザ、博多」で売っていたが長崎産である。それは「うに豆」といい、ごらんの通り極めてシンプルなデザインである。製造は藤田チェリー豆総本店で所在地は長崎県島原市新湊2丁目1078-1だ。私はTMCの代表としてこの豆に賛辞を送りたい。うに豆というのは豆好きにとっては素晴らしいアイデアだ。メロンソーダに一滴もメロンが入っていなくてもいいように、うに豆にうにが入っていなくてもいい。美しいのはその志なのだ。うにを豆に和える。料亭ならやるだろう。しかし、この豆のシンプルな味は、藤田のこだわりと長い歴史を感じさせる。藤田の創業者も間違いなく大酒飲みだろう。そして庶民に優しい。豆を作り続けて90年だ。島原といえども、うにを豆に和えるほど有り余っていたわけではないだろう。うにはどこに行っても高級な食材だ。それをせめて香りだけでも、という心遣いだろう。しかし、原材料には「生うに」という記載がある。いくらかでも本当に入っている可能性がある。その希望も嬉しいではないか。
そしてこれは本当に旨い。豆とうに味のコントラストが見事だ。次々にほおばりたくなるその継続性は、昨今のポテトチップスには失われてしまった。この豆を食して自らの行いを恥よ、カルビー! 見境のない濃い味合戦を今すぐ辞めよ。コンソメ味2倍などと、若者のバカ舌に迎合するその姿を創業者は見ているぞ。1949年の広島を思い出せ。松尾糧食工業株式会社だった頃、美味しいえびせんを届けようとみんな必死だったではないか? お客様本意とは奇天烈な味を次々に作り出すことではないぞ。
少し言い過ぎたか。カルビーに恨みはないが、その姿が見苦しいのだ。
だからこそ、ありがとう! 「うに豆」あなたは忘れていた大切なものを思い出させてくれた。