2009年01月19日

合わせものに必要なのは、何よりも想像力である。

イカの出会いについて書いたばかりなのですが、また、イカです。
このところ、情報の更新が多いのは代表がヒマではないのかという憶測があるようですが、それは違います。たまたま、TMCに関係すると思われる商品を幾つか購入したからです。

イカと明太子の合わせものといえば「いかめんたい」が代表的です。これは既に発表しているTMCの研究分野でいえば、第二類に属するものです。
簡単に復習しておきましょう。
一類は明太子そのもの、あるいは梅味、ゆず味、昆布味といった味のバリエイションまでを指します。
二類は明太子と何かの和え物、手羽めんたいやイワシめんたいといった、詰め物までを指します。われわれTMCでは「異母類」というもう少し細かな分類もあります。
三類は「赤い恋人」や「めんたい入りふりかけ」など製品としては別物で、原料の一部または含有物としての明太子を指しています。明太子の外皮の製品やあぶり明太子、薫製明太子がどうなのかといった論議は、まだ充分に出尽くしていません。

さて、今回の商品は「イカめんたいこ」の類なのですが、和え物ではありません。和え物では、これまでに島本食品の「いかめんたい」をお薦めしたことがあります。柔らかなイカとまぶされた明太子の比較的辛みを抑えた味付けが見事でした。

20090119ikadume.jpg


写真(上)のイカ明太子は詰め物です。福岡空港で入手した、味蔵の「いかの明太詰」です。成人の親指大のイカの中に明太子が詰めてあり、薄い醤油味で煮付けてある感じです。やはり酒のあてとして考案されたものでしょうか? 今回はおかずのひと品として食してみました。

残念なことですが、この商品には「想像力」が欠落しています。商品の想像力とはなんでしょうか? それは開発時のさまざまな試行錯誤から生まれる創造力ではありません。その先にある「物語」です。
この「いかの明太詰」には、酒のあてとしてこの程度でいいんじゃないか、という作り手の慢心があるのです。

イカと明太子とは、基本的に相性がいいのです。それはイカがそれ自体淡泊であることと、微妙な甘みを持っていることに依ります。そして、和え物の場合は、その甘・辛のバランス感覚と風味が重要です。「いかの明太詰」に足りないのは、その組み合わせに、自ら依存してしまっていることです。

具体的には、まず、明太子の粒が堅くなってしまっています。これはある程度の保存期間を持った商品であるからかもしれませんが、既に生の感覚からは遠いものになっています。ザラザラとした食感が不愉快です。
しかも醤油味が内部に浸透しすぎています。これは、味付けの努力で回避できたのではないでしょうか? おそらく、明太子が本来持っている外皮を利用すると、少し違ったものだったのではないかと悔やまれます。イカの外皮、明太子の外皮、内部の粒が持っている外皮の三つが、味の浸透を変化させたはずです。

イカの内部に明太子を詰めてみるという試みは、既にTMCでも行いましたが、その時は、下茹でしたイカを取り出し、生の明太子を詰めてみました。このほうが、醤油、イカ、明太子のからみがバランス良くマッチしていたと記憶しています。もちろん商品化に際しては、保存の期間を考えて、生ものをそのまま使う、というわけにはいかなかったのでしょう。しかし、大事なものを見失っていませんか?

繰り返しますが想像力とは、物語です。
この商品の考案者に問いたい。あなたはこの商品が食されるどんな場面を想像していたでしょうか? 
旅館での二次会のような場面で、浴衣の裾がめくれたおやじたちが、適当なあてのひとつとして、袋を歯で開けているところではありませんでしたか? 
あるいは、下宿の六畳間で、留年しそうな学生たちが「大五郎」か何かを、手づかみした氷を入れて飲んでいるところではありませんでしたか? 
あるいは、食卓に上るとしても、刺身のような一の皿や煮物のような二の皿ではなく、付け合わせのような三の皿、もしくはあれば食べてみるけど無ければそれでもいい、というポジションではなかったですか? 
イカと明太子なら酒飲みは文句はないだろう、という低いハードルを設定してはいなかったですか? 
私は少し悲しいのです。この商品の開発者が、もし、僅かにでも子どもの笑顔を想像していたら、きっとこの商品の仕上がりは違っていたはずです。
醤油味を施した時点で、茶色の仕上がりは想像できたでしょう。しかし、それをひとつ取り出し、半分に切った時のことを想像したでしょうか? 
そこにもう少しの赤味があれば、もう少しのなめらかさが残っていれば、子供たちは笑顔になっていたかもしれません。

厳しい意見になりましたが、福岡からわざわざ持ち帰って、食することを楽しみにしていた、いち明太子ファンの意見でもあるのです。

ラベル:明太子 イカ
posted by 明太子 at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 明太子研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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